〔T〕2月の税務
申告期限2月16日から3月16日までです。
〔U〕財務諸表入門
今月は所得税の確定申告その
(1)をお送りさせて頂きます。個人の所得税の確定申告は、課税期間
(1月1日から12月31日)の翌年の2月16日から3月15日までの間に納税地
(住所地)の所轄税務署で行います。従って勤務先を納税地とすることはできませんし、事業場を納税地とするには
届出が必要となります。
所得税は一年間の所得に課税されるのですがその手順は次の通りです。
所得は、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得・雑所得の10種類に区分されます。
所得税は総合課税を建前としますので各種所得の金額を総合して、税額計算の基となる所得金額を計算します。
この場合、損失の生じている場合他の所得から一定の順序で差し引きます。
この手続きを「損益通算」といいます。
又、前年以前3年以内に生じた損失で繰越しできるものがあれば、更に控除の対象となります。すなわち@の総合計額から「損益通算」及び「純損失又は雑損失の繰越控除」を行い、一般的に表現される「所得」を計算するのです。
課税標準額から所得控除を差し引いて課税所得金額が決まります。
所得控除には、社会保険料控除・小規模共済掛金控除・生命保険料控除・損害保険料控除・配偶者特別控除・配偶者控除・扶養控除・基礎控除及び障害者等の控除があります。
以上を図解すると納める税額の計算順序は
この場合3期分の税額の1/2以上を3月16日迄に納付することになる。
又、千円未満の端数は、3月16日納付に含めます。
平成18年度の申告期限と第三期分の納期限は3月15日です。
所得税の確定申告書を提出した人は住民税および事業税の申告書を提出する必要が有りません。
三位一体改革により国(所得税)地方(地方税)3兆円の税源移譲が行われます。これにより所得税と地方税の全体では変化はありませんが平成19年1月より所得税(給与から源泉徴収)が減り平成19年6月から住民税が増えます。
〔V〕資産税入門
15歳以上の行為能力者はいつでも自由に遺言が出来ます。
一般的には遺言には@自筆証書遺言A秘密証書遺言B公正証書遺言の三方式があります。
又、民法は口頭による遺言を認めていませんので書面によらなければなりません。
又、日付や署名押印のない遺言も無効です。
遺言の作成から保管まで全て自分一人でできる遺言です。
遺言者が自分で遺言の内容全部と日付及び氏名を書いて押印すればよいのです。
自筆とありますように遺言の全文を自筆で書くことが要件です。従ってテープやビデオ、ワープロといったものではできませんし、他人の代筆も無効です。
又、日付は年月日までを記入することが要件です。
年月だけの記入や×月吉日というのも無効です。
遺言書はその秘密性を保つ上から封筒に入れ封印しておくのが、改ざんを防ぐ意味でも有効です。又、訂正を行う場合二本線で消して字句を訂正し、押印したうえ欄外に「この行二字削除、三字加入」等、変更の旨を付記し氏名(署名)を書きます。
安全上からは書き直すのが最も良い方法だと思います。
又、遺言書は遺言執行者に保管してもらうか、銀行の貸し金庫に保管するのが最も安全な方法です。
次頁に、遺言書の例文を示します。以降は、次月号に解説致します。
《遺言書文例》
(二) 公正証書遺言書の作成
公証人に自分がしたい遺言を述べこれに従って公証人が書面にし、作成するのが公正証書遺言です。(民法第969条)この場合は公証人と二人以上の証人立会いのもと遺言者の口頭を筆記していくことになります。その要件は(民法第969条)によれば下記の通りです。
@
証人二人以上の立会いがあること。
A
遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
B
公証人はこれを筆記し証人に読んで聞かせること。
C
遺言者・証人はこれを承諾し署名・押印すること。
D
公証人は上記の方式に基づいて作成された事を附記して署名・押印すること。
(三) 秘密証書遺言書の作成
秘密証書遺言書は公証人と二人以上の証人立会いのもと遺言者の遺言書であることを申述するものです。その用件は(民法第970条)によれば下記の通りです。
@
遺言者が証書を作り(代筆でも良い)自分が署名・押印すること。
A
証書を封筒にいれ証書に押した印鑑で封印をすること。
B
遺言者がこの封書を公証人と証人に提出して氏名・住所を記して申述すること。
この時二人以上の証人立会いが必要となります。
C
公証人が日付等を封書に記載して遺言者・証人と共に署名・押印すること。
この秘密証書遺言書は遺言書の内容を相続人に秘密にできますが、第三者には遺言書の存在を明らかにしなければ遺言書の有無を相続人に伝えることが出来ません。発言不能者の遺言に活用できます(民法第972条)。
(四)遺言の効力の発生
遺言は遺言した者が死亡した時から効力が発生します。(民法第985条)
遺言者は自由にその遺言の全部または一部を撤回にして無効にすることができます。
(民法第1022条)遺言を更新した場合前後の遺言に矛盾がある場合には前の遺言は後の遺言により撤回されたものとして取り扱います。
遺言による遺贈は遺言した者の死亡後にいつでも放棄できます。(民法第987条)
遺言利害関係者は遺贈を受ける者 (受遺者)に対して承認か放棄かの催促をすることが出来ます。(民法第987条)、また受遺者が意思表示をする前に死亡した場合はその相続人が遺贈の承諾または放棄をすることが出来ます。(民法第987条) すなわち受遺者の相続人が受遺者の地位を承継するのです。これとは逆に遺贈を受けた者が遺贈者より前に死亡した場合の当該遺贈は無効となります。(民法第994条)
(五)遺言書の執行
自筆証書遺言は一人で秘密裏に出来る点がメリットですが公正証書遺言以外の遺言(自筆証書遺言・秘密証書遺言)における遺言書の保管者は遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を受けることが必要となります。また封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人立会いのもとで開封します。(民法第1004条)
遺言あるいは家庭裁判所の選任により遺言執行者を指定できます。この遺言執行者は相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。(民法第1012条)遺言執行者がいれば不動産の登記を執行者の実印(印鑑証明の添付)で行う事ができます。
相続人はこの遺言執行人のいる場合は相続財産の処分・遺言執行を妨げる行為をすることが出来ません。(民法第1013条)これらに違反した場合遺言無効の訴えをされる恐れがあります。
この無効の訴えの心配の無いのが公正証書遺言書です。
遺言内容の確実な実行に遺言執行人が有効です。
(六)
遺言書の限界
被相続人は遺言によって自分の財産を自由処分できます。
しかし、被相続人が相続人の遺留分(最低の相続分)を侵害する遺産の処分を遺言した場合相続人は減殺権を行使して当該受遺者に対して当該処分の効力を無効にする権利を主張できます。これを相続人の減殺請求権といいます。この権利は相続人としての兄弟姉妹にはありません。相続人が兄弟姉妹のみの場合被相続人の全財産について自由処分できることになります。減殺の請求は意思表示のみで有効ですが相手が応じない場合は家庭裁判所に調停の申し立てをおこないます。この減殺請求権は相続発生より一年内の権利です。
これらの遺言書は新しく作成した遺言書が優位となりますが、公正証書遺言においては遺言書の更新には公証人役場での以前の遺言書の破棄手続きを経る必要があります。
【T】公正証書遺言書の作成に必要な書類等
1)遺言書作成に必要な書類について
@遺言書を作成する者の発行から3か月以内の印鑑証明書
A遺言書作成者との関係のわかる戸籍謄本
2)公証人役場の手数料等の計算のための資料
@不動産の登記簿謄本
A固定資産評価証明書
(*もしくは固定資産税の納付書についている納税通知書に記載されている明細書)
Bその他の相続の概算金額
*公正証書遺言書の作成についての費用については総額からの計算となります
3)その他の必要事項
@公正証書遺言書の作成には証人が2人必要になります。
Aこの証人と言うのは双方の身内では無いことが絶対条件となります。
Bご用意が出来ない場合は、公証人役場にて確認したところ、公証人役場の方から依頼が出来るとのことです。
(費用:承認1人につき、6,000円)
4)公正証書遺言書の作成については上記の書類と相続財産一覧表が、そろったところでに役場に連絡をして訪問日等の確認をしてください。
(訪問等が出来ない場合は公証人に来てもらうことも可能です)
5)作成についてはFAXやメールのやりとりでも可能とのことですので、1度役場とお話をされてから決めてください。
【U】分割協議書での所有権登記の必要書類
@被相続人の生まれてから死亡時までの戸籍謄本。
A相続人の戸籍謄本。
B遺産分割協議書
C実印と印鑑証明
D登記名義人の住民票
E除票住民票
F固定資産評価証明書
G申請書・相続関係説明図等