平成24年度税制改正およびH23年度改正H24年度実施内容
平成24年度税制改正は成長戦略・税の公平と適正化及び平成23年度の積み残し等に言及しております。H23年度改正でH24年度引き続き適用の内容も掲載致します。
【T】所得税関連の改正 (H23年改正)
(1) 扶養控除(注:所得税はH23年分、住民税はH24年分からの適用)
見直し項目 |
対象年齢 |
所得税 |
住民税 |
年少扶養親族 |
16歳未満 |
廃止 |
廃止 |
特定扶養親族 |
16歳〜18歳 |
38万円 |
33万円 |
19歳〜22歳 |
63万円 |
45万円 |
|
成年扶養親族 |
23歳以上 |
38万円(見直しなし) |
38万円(見直しなし) |
同居特別障害者 |
特別障害者 |
35万円加算 |
23万円加算 |
適用年度 |
H23年分より |
H24年分より |
(2) 住宅税制の改正(H24年改正)
低炭素建物に該当する建物を新築・取得し、H24・H25年に居住の用に供した住宅借入金残高について下記のとおり改正(措置法41D)
居住年 |
控除期間 |
住宅借入金残高 |
控除率 |
平成24年 |
10年間 |
4,000万円(限度額) |
1.0% |
平成25年 |
10年間 |
3,000万円(限度額) |
1.0% |
(3) 金融証券税制(株式の配当、譲渡)に関する見直し(H23年改正)
非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等について非課税措置の創設
(イ) 非課税口座内上場株式等について
H24年からH26年に設定された非課税口座内の開設の日の属する年の1月1日から10年間に支払いを受けた場合、所得税および住民税の非課税
(ロ) 非課税口座内上場株式等について
H24年からH26年に設定された非課税口座内の開設の日の属する年の1月1日から10年間の非課税口座内上場株式等の当該金融商品取引業者等への売り委託等による譲渡に係る所得税および住民税の非課税
(4) 認定長期優良住宅新築等特別税額控除(H24年改正)
税額限度額が50万円(改正前100万円)に引き下げられてH25年12月31日まで延長
(改正法附則17)
(5) 医療費控除に下記の事項が追加(H24年改正)
@ 控除の対象に介護福祉士による、喀痰(かくたん)・吸引行為
A 認定特定行為業務従事者による特定行為に係る費用の自己負担部分
(6) 生命保険料控除(H23年改正)
現行の生命保険料控除は一般と年金の控除は各5万円(住民税3.5万円)であったが、見直しでは一般、介護・医療、個人年金に分類し、個人年金保険料控除の対象に年金払積立傷害保険(損保年金)を追加
(単位:万円)
生命保険料控除 |
現行 |
見直し |
||
所得税 |
住民税 |
所得税 |
住民税 |
|
一般(遺族保障) |
5 |
3.5 |
4 |
2.8 |
介護、医療保障 |
|
|
4 |
2.8 |
個人年金 老後保障 損保年金 |
5 |
3.5 |
4 |
2.8 |
控除額計 |
10 |
7 |
12 |
8.4 |
H24.01.01以降の契約
(7) 買換えの特例の延長(H24年改正)
特定居住用財産の買換えの特例は売却代金の上限を1.5億円以下として2年間延長
(H25年12月31日まで)
(8) 売却損、繰越控除の特例の延長(H24年改正)
居住用財産の売却損の損益通算および繰越控除の特例は2年間延長
(H25年12月31日まで)
(9) 固定資産税の軽減措置の延長(H23年改正)
一定の要件の新築住宅の120u部分までの固定資産税の3年間1/2となる措置が2年間延長された(中高耐火住宅等は5年間1/2)
(H24年3月31日まで)
(10) 長期優良住宅に係わる固定資産税の軽減措置(H23年改正)
長期優良住宅を建築した場合に適用される固定資産税の軽減措置が2年間延長
(H24年3月31日まで)
(11) 省エネ改修工事係わる固定資産税の軽減措置(H23年改正)
一定の省エネ改修工事を行った場合に適用される固定資産税の軽減措置が3年間延長
(H25年3月31日まで)
(12) バリアフリー改修工事に係わる固定資産税の軽減措置(H23年改正)
一定の省バリアフリー改修工事を行った場合に適用される固定資産税の軽減措置が3年間延長
(H25年3月31日まで)
(13) 長期優良住宅の新築に係わる不動産取得税の特別措置の延長(H23年改正)
一定の要件を満たす長期優良住宅を新築した場合に適用される固定資産税の軽減措置が2年間延長
(H24年3月31日まで)
(14) 復興特別所得税の創設
平成25年から平成49年まで東日本大震災からの復興の為、創設。
確定申告時に所得税及び復興特別所得税を併せて申告納付となる。
【U】法人税(中小企業者等の特例関連)(H24年度改正)
H24年4月1日以降開始の事業年度から適用
(1) 法人税率の引き下げ
課税標準額800万円以下→18%から15%
課税標準額800万円超→30%から25.5%
(2) 減価償却
定率法の償却率が定額法の償却率の20%とする
(H24年4月1日以降取得の減価償却資産に適用)
(3) 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例延長(H24年度改正)
1点30万円未満の少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度が2年間延長
(H26年3月31日まで)
(4) 中小企業投資促進税制の延長(H24年度改正)
新品の機械等を購入した場合の特別償却か税額控除の選択適用の制度が延長
機械装置160万円以上、事務用品120万円以上
(H26年3月31日まで)
(5) 欠損金の繰延還付不適用の延長
欠損を出した場合に前期納付税額が還付出来る、欠損金の繰戻還付の適用停止
について停止期間が2年間延長(大企業は停止の延長2年)。又、対象にISO対
応のソフトウエアーが追加。
(H26年3月31日まで)
(6) 貸倒引当金の損金算入
損金算入できる法人は中小企業・銀行・保険等に限定された
平成24年4月1日から平成27年3月31日まで
損金算入限度額は開始事業年度により従来の繰入額に下記を加えた金額
平成25年3月31日までの事業年度3/4
平成26年3月31日までの事業年度2/4
平成27年3月31日までの事業年度3/4
(7) 寄付金の損金算入
@ 一般の寄付金 → ((資本金等×2.5/1000)+(所得×2.5/100))×1/4
A 特定公益増進法人 → ((資本金等×3.75/1000)+(所得×6.25/100))×1/2
【V】相続贈与の改正(H24年度改正のみ)
(1) 配偶者に対する相続税額の軽減に係る要件緩和
配偶者特別控除を受ける旨の記載に限定していたが、更正の請求書に適用を受ける旨の記載でも出来るようになった(下記の事項)
@ 配偶者に対する相続税額の軽減
A 贈与税の配偶者控除
B 相続税額から控除する贈与税額相当額
(2) 贈与税の更正の請求の期間の延長
贈与税の更正の請求の期間が1年から6年に延長
【W】国税通則法の改正(国税通則法第72・74)(H24年度改正のみ)
(1) 更正の請求
更正の請求をすることができる期間が1年から5年になりました
(2) 税務調査手続き
@ 税務職員の質問検査権として法律上帳簿等の提示・提出権を明示
A 税務職員の税務調査で提出された物件の止め置き権の明示
B 税務署長による税務調査日の事前通告が義務化
C 税務署長により更正決定すべき場合はその旨書面で通知
D 税務署長により更正決定すべきでない場合はその旨の説明
【X】復興特別税の創設(H24年度改正のみ)
(1) 個人
特別措置法(平成23年法律117号)による復興特別所得税の創設
@ 納税義務者 所得税納付義務者
A 課税対象 基準所得税額(H25からH49年までの25年間)
B 基準所得税額
(イ) 居住者(非永住者以外) → 全ての所得に対する所得税額
(ロ) 居住者(非永住者) → 全ての国内源泉所得に対する所得税額
(ハ) 非居住者 → 全ての国内源泉所得に対する所得税額
C 税額の計算
(イ) 個人の復興特別法人税額の計算
復興特別所得税額=基準所得税額×2.1%
(ロ) 法人の復興特別法人税額の計算
復興特別法人税額=法人税額×10%−復興特別税額の控除等の税額控除