1.税理士と民法

      (1)     六法

          公法 → 国家・地方公共団体と国民

                         @憲法                                         

                        A刑法

                        B刑事訴訟法

           私法 → C民法 → 私法の一般法 人と人の関係

                        D民事訴訟

                        E商法 → 私法の特別法(法の適用は特別法優先)

 

(2)二大民事責任

 

     (1)債務不履行 → 民法412条以降

    1. 履行遅延 →履行期に履行されてない。
    2. 履行不能 →売却物件の焼失
    3. 不完全履行→履行内容の不完全

            (2)不法行為 →民法709条以下

    1. 一般不法行為→民法709条の原則不法行為
    2. 特殊不法行為→民法718(動物の飼い主責任)

        民法715(使用者責任)

        民法714(親等の責任)

        民法712(未成年者の責任)

(3)民事責任の基本原理

   過失責任の原則

     過失=注意義務違反=善良なる管理者の注意義務=行為者の置かれて

    いる業務領域における職業専門家として期待される注意義務。

 

   債務不履行責任

     有効な債務の存在が前提→契約から履行までを追って考える。

            1. 契約締結上の過失
            2. 契約締結上の瑕疵
            3. 説明義務(インフォームドコンセント)

    過失の有無は、履行義務者が立証しなければならない。

  不法行為の責任

    不法行為の成立要件

            1. 故意又は過失が有ること
            2. 違法性が有ること
            3. 権利侵害が有ること
            4. 損害が発生している
            5. 行為と結果の間に因果関係があること
            6. 相手方に責任能力があること

    損害賠償を請求する人は不法行為の成立要件について立証しなけれ

   場ならない。

         

チェックポイント要約

  1. 法律関係 →市民社会において、権利義務関係で捉えられる事項。
  2. 権利義務 →法の正義公平の理念からみて保護すべき存在体。
  3.           →権利義務の帰属主体たる地位。
  4. 権利能力 →法人・自然人は、その名において権利義務の帰属主体たる地位
  5. (権利能力)を有する。

  6. 近代私法の三大原則→契約自由の原則・所有権絶対の原則・過失責任の原則。
  7. 民法総則 →私法の一般法として人と人の全ての関係(人・物・行為)に関わる
  8. (第一編) 大前提とての規範。

    人→権利の主体→自然人と法人

    物→動産と不動産、主物と従物、元物と主物

    行為→意思表示と法律行為

  9. 民法の構成
  10. 第一編 総 則 人(権利能力)

    物( 有体物)

    行為(法律行為)

    についての基本的ルールをまとめた全私法の一般法である。

    第二編 物権法 物に対する直接的支配権(法定主義)

    物権   @用役物権→所有権・地上権

           A担保物権→質 権・抵当権

             *所有権(物に対する使用・収益・処分の三権能)

    第三編 債権法 →他人に対する一定行為の請求権(自由主義)

    債権

    @契約→意思表示に基づく債権(契約自由の原則)

    A事務管理→民法697条(義務のない管理)

    B不当利得→民法703条(法律上の原因のない利得)

    C不法行為→民法709条(故意過失による権利侵害)

  11. 私法解釈(法の意味の解釈)
    1. 分理解釈→法文解釈を文言どうりに文法に従って解釈。
    2. 論理解釈→法の立法趣旨からの適用結果の妥当性を勘案した解釈。

      法の解釈は正義公平の見地から、法的安定性と具体的妥当性を総合勘案

      して、全人格的価値判断からなされるべきである。

  1. 物の民法上の分類
    1. @民法86条
    2. 動 産 →不動産以外のもの

      物権変動の対抗要件は物の引渡しである。(民法178条)

      不動産 →土地およびその定着物

      物権変動の対抗要件は登記である。(民法177条)

      登記は第三者対抗要件であり、公信力をもつものではない。

    3. A民法87条

        主 物 →独立の効用主体(取引主体)

        従物 →付属の効用(従物は主物の処分に随う)

          B民法88条

                 天然果実 →分離主義

                 法定果実 →日割主義

 

 

2.税理士と商法

  1. 商法の二大理念

      @企業維持の原則

    企業の健全な発展を図り、一旦成立した企業については、その解消を可及的に防止

    しようとする原則。

    企業維持の原則は、企業を取り巻くインタレストグループへの公共性と従業員への

    私益性の両面から要請される原則である。

    営利性の保証(商法52条、512条等)法人格の付与(商法54条)

    営業譲渡(商法52条以下)、合併(商法56条)、整理(商法38条以下)

       A外観主義の原則

      一定の表示をした者は、その表示に反する主張をしてはならないとの思想を外観理論という。

      外観主義は公示主義、画一主義と相俟って企業取引の動的安全を支える重要な柱の一つである。

      商法において、企業取引は集団的、反復的、非個人的になされる。かかる特性を有する企業取引にはその当然の帰結として取引の迅速性・安全性が要求される。

      けだし、ここの行為の具体的な内容に立ち入ることなく、外部に現れた状態を標準として事柄を解決することが取引の安全性と迅速性の為に必要だからである。

       

  2. 法人格否認の法理

                        (一).意義  

                     特定の会社の存在を全面的に否定するものではなく、その法人としての存在

                    を認めながら特定の事案につき会社なる法衣を剥奪してその背後にある実体

                    を捉えこれに即した法律上の取り扱いを成すことをいう。

                           (二).効果  

                              実体的同一性があるなら

                           @会社なる名において行われてもその背後に潜む実体(個人)の名のおいて     

            捉え責任を帰属させる。

          A 会社の背後に潜む実体(個人)の名においておこなわれても会社にその責任を帰属させる。

           

          (三)根拠

          実質的に法人格は法の擬制であり、法の擬制は、正義公平の理念からみて

          法的に意味があると思われるものに与えられているのであり、その法人格が

          法の理念からみて許容できないことに利用されていたり、法の目的を脱法す

          るという目的で用いられるときは、その法人格は当該行為につきないもとする。

          (DISREGARD)

          (四)法源

          @判例法は法源である。

             最高裁昭和44年2月27日が適用したことは判例

                     A民法第一条三項(権利の濫用)の類推適用。

                            B商法54条(会社はこれを法人とする)

                          常に法人として取り扱うわけでは      

            法の理念からみて許容できないときは法人として取り扱わないとの意味がふくまれている。(法人格形骸化の場合)

                       (五)適用

                     最高裁昭和44年2月27日判決によれば

                          @法人格の濫用 →民法1条Vの類推適用

                          A法人格の形骸化 →商法54条

                       (六)判例

                      最高裁昭和44年2月27日

                         法人格が全く形骸化に過ぎない場合の事案。

                        個人のなにおいて行われた行為について会社にその責任を帰属させた判例。

 

3.税理士と民商法

取締役の職務

取締役会の構成

@代表取締役       → 社長・副社長

A業務担当取締役 専務・常務

B平取締役        → 取締役会を通じて監視業務。

取締役の義務

  @一般的義務

            1. 善管注意義務(商法254条3民法644条)
            2. 忠実義務 (商法254条の3)

                代表取締役の違法な職務執行(粉飾決算に基づく違法な配当や総会屋への利益供与)を取締役が漫然これを放任した場合取締役会の構成員として任務懈怠として善管注意義務違反としてその責任を問われることとなる。

A競業避止義務 (商法264条)

          取締役は会社の業務の部類に属する取引をすることは競業避止義務に違反す

          る。

 B利益相反取引 (商法265条)

甲乙両会社の代表取締役をかねていたAが甲会社の第三者に対する債務

について乙会社を代表して保証する場合や会社財産を譲りうけたり、会社

から金銭の貸付を受ける場合などは 利益相反取引に該当し取締役会の承認

を受けなければならない。

 

業務執行機関 取締役は 会社の業務執行の意思決定機関である取締役会の構成員として、

取締役会を通じてその意思決定に参加し代表取締役や業務担当取締役の行う

業務執行について監督責任を負います。

@取締役の職務→(業務執行の意思決定)

商法・定款・株主総会に基づいて会社の経営を行う。

取締役会は、取締役の過半数が出席し、出席取締役の過半数の同意をもって

業務執行の意思を決定します。(商法200条2−1)

 

A取締役の義務


資本と経営の分離したシステムにおいて取締役は  (株主)から 経営の委託を受けた

受任者として委任の本旨に従って経営の職業専門家としての高度な責任を負う。

         (商法254条3) 忠実義務

        商法・定款等を遵守し忠実に職務を遂行 する義務を負う。

        

    (民法644条) 善管義務

委任の本旨に従い善良なる管理者の注意義務をもって

融資機関の社会的責任.html 職務を遂行する義務を負う。

B取締役の責任

取締役は職務を遂行するためには、義務を負い怠ると責任が生じます。

すなわち、取締役は、定款その他法令を遵守し会社の業務内容・財産状況を正しく把握

しておかなければなりません。

 

  1. 取締役に課されている一般的な義務
    1. 業務執行の決定への関与
    2. 業務執行の実行に対する監視義務
    3. 善管義務と忠実義務 (民法644、商法254条3)
    4. 取締役の責任 (商法266条)

 

  1. 取締役の株式総会に関する義務
    1. 株主総会の形骸化現象 (経営の支配権→取締役会)
    2. 株主総会の活性化 (商法232条の2)

 

  1. 取締役の競業避止義務
    1. 競業避止義務の定義 (商法264条1項)
    2. その必要性 (商法266条1項5号、4項)
    3. 報告義務 (競業取引の報告)

 

  1. 取締役の会社との取引回避義務
    1. 取締役の自己取引 (商法265条1項)
    2. 取締役会の承認 (財産の譲受、金銭の貸与)
    3. 自己取引の責任 (会社に対する損害賠償)

 

  1. 取締役の会社に対する責任
    1. 取締役の基本的義務 (民法415条)
    2. 取締役の特別責任 (商法266条1項)
    3. 責任の内容 (商法266条2項、3項)

 

  1. 取締役の第三者に対する責任
    1. 民法上の責任 (民法709条)
    2. 商法上の責任 (商法266条の3)
    3. 商法上の責任の具体例 @手形の乱発 A詐欺 B放漫経営 C横領
    4. D監視義務違反

    5. 書類の虚偽記載 (商法281条1項)
    6. 責任を負う取締役 (商法266条の3の3項、2662)

 

  1. 取締役の刑事責任
    1. 刑罰による制裁 (商法486条、〜492条)
    2. 過料による制裁 (商法498条)