贈与税と相続時精算課税

(1)              相続時精算課税の概要

    平成1511日以降の贈与税の課税方式が「暦年課税」と新設された「相続時精算課税」の二つから選択適用が可能になりました。「相続時精算課税」を選択した場合2500万円まで(住宅資金の贈与は3500万円まで)贈与税が課税されません。限度額を超える贈与額には20%の贈与税となります。相続時精算課税は贈与者の相続時に贈与額の合計が相続財産として組み込まれ計算され、相続税から納めた贈与税を控除する形で精算されます。すなわち相続時精算課税は相続時に税額の計算が精算されるのです。

    贈与の基礎控除110万円は暦年課税のみで相続時精算課税にはありません。

 

(2)              相続時精算課税の選択適用

    相続時精算課税は65歳以上(贈与の年の11日現在で)の親から20歳以上の子への贈与に適用されます。

    この場合子には実子・代襲相続人・養子等も含みます。

    推定相続人でなくなった場合においても相続時精算課税の適用があります。

    相続時精算課税を住宅資金の贈与に選択適用した場合上記65歳の年齢制限がなくなります。子は20歳以上であれば親からの住宅資金贈与に適用されます。

    贈与者である父・母により別な選択(父からの贈与は暦年課税・母からの贈与は相続時精算課税)も出来ますが一旦相続時精算課税を選択すると暦年課税には戻れません。

    また確定申告時(21日から315)に相続時精算課税を選択する旨の届出書を添付して贈与税の申告をする必要があります。

相続税法 21条の9

相続時精算課税の選択

1 贈与により財産を取得した者がその贈与をした者の推定相続人(その贈与をした者の直系卑属である者のうちその年1月1日において20歳以上であるものに限る。)であり、かつ、その贈与をした者が同日において65歳以上の者である場合には、その贈与により財産を取得した者は、その贈与に係る財産について、この節の規定の適用を受けることができる。

 

(3)              相続時精算課税の留意点

@     暦年贈与(110万円基礎控除)での住宅資金の贈与の特例は550万円まで非課税(5年分の基礎控除110万円×5=550万円を一回で使い切る方法、したがって以後5年間の基礎控除は使えません。)1500万円まで軽減税率(1500万円までは、550万円超の住宅資金贈与に10)の5分5乗方式(例1000万円の住宅資金の贈与→1000万円-550万円=450万円の10%で45万円の贈与税) 平成17年12月31日までの適用となっております。 

A      相続時精算課税を選択した場合の住宅資金の非課税3500万円の適用

は平成18年度税制改正で平成19年12月31日で延長となりました。

B     贈与は双方契約により成立しますので、贈与契約書を作成することをおすすめします。