財務諸表の見方 (1)の解説へ (2)の解説へ (3)の解説へ (4)の解説へ (5)の解説へ (6)の解説へ



(7)図解
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(1) 当期利益=期末資本−期首資本から返済可能限度額の計算。
(2) 当期利益= 収益 − 費用 の内容分析。
(3) 自己資本比率の妥当性。
(4) 流動比率の妥当性の分析。
(5) 在庫・売掛金・買掛金・借入金等の期中増減の妥当性の分析。
(6) 売上原価率・売上総利益率の前期比較による営業内容の分析。
(7) 貸借対照表負債の部の簿外債務の妥当性。


上図の解説
簿記会計上 資産・負債・資本・費用・収益を簿記の五大要素といい、この五つの要素が変動することを取引といいます。

(1) すなわち会社(法人)が、営業活動を行うことによって発生した取引について伝票(入金・出金・振替)を起票することが簿記一巡の手続きの出発点なのです。

(2) 簿記は一取引につき必ず貸借が平均するように起票するのが約束事項ですからそれを試算表 (仕訳計)を作成することによって貸借平均を検証(TrialBalance:T/B)していく訳です。

(3) 試算表が12ヶ月分(1年分)集計されたところで決算手続きに入ります。ここでは例えば在庫・ 減価償却・貸倒引当金・賞与引当金・発生主義という観点からの売上・仕入の追加計上並びに繰延見越し計上(未払費用、未収収益、前払費用、前受収益)等の調整を行います。

(4) その結果決算書といわれる財務諸表すなわち貸借対照表(B/S)損益計算書(P/L)利益処分計算書 (S/S)等を作成致します。

(5) 上記P/Lより当期利益が表示される訳ですが、これを法人税の課税標準である所得金額に税務調整するのが法人税申告書の別表なのです。

(6) 算出された所得を基準として法人税、事業税、住民税等が計算され又売上高等より計算された課税売上高から消費税が計算されます。(簡易課税)

(7) 以上のことから図解Fに表示したようにこの簿記一巡の手続きは、企業の営業活動の結果、財政状態及び営業成績がどのような推移をしたかを物語っています。
すなわち期首B/Sに表示された財政状態を出発点としての期中のP/Lに表示された営業活動を行なった結果その財政状態は期末B/Sに表示される状態になったことを物語っているのです。
従って財務諸表は(F/S)は、一期間のP/LとB/Sとを読むのではなく一連の流れとして毎期継続的に読むことが正しい企業の財務状況を捉える方法ということになります。
当期の資金繰りが収支相償うことが出来たのか、出来なくとも資金繰りが成り立ったのは前期の売掛金が期首と比較して減少している分だけ資金繰りに充当された結果と判断すべきなのか。
また、借入金が期首と比較して増大している場合は期中に銀行借り入れが実行され資金繰りが充当できたのであり正常な営業循環過程からの収益力から返済可能限度額の範囲内であったかどうかの判断が問われるのです。

細部にわたると売掛金の残高の回収可能性の妥当性を検証し回収業務が遅滞なく実施されて何時かどうかを常に評価していく必要があります。また退職規定がある場合支払い財源は何に求めるのか、財源確保の確実性を吟味し継続企業の安定性の確保に努力しなければなりません。
近年シェアー中心から粗利中心へと経営者の関心が移りつつあるのも利潤追求の結果内部留保がどのぐらい進んでいるのかを判断する必要があります。経営の計数管理を充実させ経営の将来方向をいかに決定していくのか、経営者の最大の意思決定がここにあります。