平成19年税制改正の要旨

法人税

(一)1941以降の取得する減価償却資産に適用。

@減価償却制度の改正により残存価額(取得価額の10%)が廃止され備忘価額1円(償却最終年度)をのこして全額償却できることになりました。  

A    定額法による償却限度額=取得原価×定額法償却率。となります。

B    定率法による償却限度額=未償却残高×定率方償却率(定額法償却率の2.5倍)

※定率法では一定額(耐用年数ごとの一定額を定められる。)を償却限度額が下回った場合定額法に変更して備忘価額1円を残した金額まで償却することになりまます。

※平成19331日までに購入した減価償却資産は従来どおりの償却限度額までの償却を行った後残り5%部分について5年間の均等償却を行い備忘価額1円を残した金額まで償却します。

 

(二)2041以降に締結するリース契約に適用。

  @ファイナンス・リース取引が売買取引とみなされリース期間定額法(リース期間において残存価額をゼロとした償却費の計算)による減価償却費の計上と利息法または定額法による支払利息の計上を行うことになります。

  Aリース会計基準の適用のない中小企業は損金算入したリース料を償却費とみなされることになります。

(三)役員給与

   @定額同額給与については期中の変更が認められませんでしたが役員の職制上の地位の変更等の場合(代表取締役の交代)は増額も損金算入が認められることになります。

   A事前届出給与は株主総会開催日から1ヶ月経過日と会計期間開始から4ヶ月のいづれか早い日となりました。

   B事前届出について同族会社以外の非常勤役員の年1回または2回の支払について不要となりました。

(四)棚卸資産の評価

   棚卸資産の評価に低価法を採用する場合の評価額が事業年度末における価額とされました。またトレーディング目的の棚卸資産については時価評価となりました。

 

(五)留保金課税の廃止

   資本金1億円以下の中小企業は適用対象から除外されました。

 

(六)特定支配従属会社(平成1941日以降開始事業年度から適用。)

   業務主催役員の給与所得控除額の損金不算入制度の要件が緩和されました。

@基準所得金額(法人所得+主催役員の給与所得)が1600万円(改正前800万円)以下

   A基準所得金額が3000万円以下かつ主催役員の給与が基準所得の12以下(これは以前と同様。)

 

(七)エンジェル税制の拡充

   取得したベンチャー企業の株式を売却した場合譲渡益の12課税と言うエンジェル税制の対象となる特定中小企業の要件が緩和されました。

   @設立1年未満のベンチャー企業において、研究者数が2人以上の要件を満たしていなくとも開発者(企画・開発者・マーケティング担当者等)が2人以上かつ全従業員の10%以上であれば対象となる。。

   A設立2年から5年未満のベンチャー企業において、試験研究費等が売上高の3%以上であると言う要件を満たしていなくとも売上高成長率(第1期からの売上高の伸び率)が25%以上であれば対象となる。

 

(八)中小企業等基盤強化税制の見直し

   地域産業促進法(仮称)により認定を受けた中小企業者が取得する一定の機械装置が対象装置となりました。

   対象資産については7%の税額控除と30%の特別償却の選択適用が認められます。

 

(九)地域産業活性化支援税制の創設。

 企業立地促進法(仮称)で規定する一定地区で一定事業を行う法人が一定の機械・工場用建物を取得した場合特別償却を認める制度が創設されました。

 

 

 

 

 

 

所得税

@住宅ローン控除に特例措置が創設され従来の住宅ローンとの選択適用となりました。

特例における控除期間等

居住の年

控除機関

借入金年末残高

適用期間

平成19年

15年間

2500万円

10年まで0.6

11年以降0.4

平成20年

15年間

2000万円

10年まで0.6

11年以降0.4

 

 

Aバリアフリー改修促進税制

居住の用に供する期間

控除期間

借入金年末残高

控除率

自平成19年4月1日

至平成20年12月31日

5年間

1000万円以下

一定の工事2

上記以外 1

B    居住用財産の買換え・交換の特例等

 特定居住用財産の買換え・交換の特例について買換え資産の床面積の上限が撤廃され3年間の適用期限が延長されました。

 

C    上場株式等の特例

 上場株式について配当・譲渡益の軽減税率(所得税7%・住民税3%)の特例適用期限が1年間延長されました。

D所得税の寄付金控除の控除対象限度額の引き上げ。

  平成19年度分所得から寄付金の控除対象限度額が総所得所得金額の30%相当額から40%相当額に引き上げになりました。

寄付金限度額の計算は支出した特定寄付金額−5000(この金額はH18年税制により1万円から引き下げ)

となります。

相続・贈与

相続時清算課税制度は贈与財産の種類は問わず2500万円の非課税枠がありました。住宅資金の贈与については特例で2500万円に1000万円の上乗せがありました。今回取引所の相場のない株式について特例で500万円の上乗せが創設され3000万円までとされたと共に贈与者である親の年齢制限が60歳以上に緩和されました。(従来は65歳以上)

ただし下記の要件充足が必要です。

@    当該会社の発行済み株式の総額が20億円未満であること。

A    特例選択の時から4年を経過した時点で当該受像者が発行済み株式の50%超を所有しかつ議決権についても50%超を有していること。また当該受贈者が当該会社の代表者として経営していること。

また、種類株の評価方法が明確化されました。

@    配当優先無議決権株式は普通株式と同様に評価する。

A    社債類似株式は社債の評価と同様に評価する。

B    拒否権付株式は普通株と同様に評価する。