経営内容の見方

B/S(貸借対照表)とP/L(損益計算表)の読み方について解説致します。
両者の関係を説明してみたいと思います。
B/Sは、資金繰りの面から見れば次の様に図解できます。

B/S
資産
(資金の運用形態)
負債(他人資本)  資金の源泉 
資本(自己資本) 



【貸借対照表の見方】
B/Sの貸方側は、企業が営業活動上必要な資金を自分自ら(自己資本)拠出したのか、又は他人からの借金によっているのか(他人資本)に二分されるのです。
そして他人資本と自己資本を合わせて総資本と呼び、これはB/S借方側の総資産の額とバランスしているのです。
そしてこの総資産は集めた資金の運用形態すなわち資金をどのように投下したかを物語っているのです。従ってこの自己資本と他人資本の比較が重要です。
自己資本比率は、自己資本/総資本×100で表示され第1目標はこれが50%を超えることです。
何故なら返済を伴わない自己資本の方が返済を伴う他人資本より大きいことが企業の資金繰りの観点からより望ましいといえるからです。
自己資本比率が50%を超えることが、不況抵抗力を増すなどといわれます。企業の体質が借金体質でないといわれるためには、自己資本>他人資本がクリアされなければなりません。
又、当面の資金繰りという見方からは流動比率も重要です。これは流動資産/流動資産×100で表わされる比率で200%が理想とされていますが当面は100%を超えること、すなわち当面の支出(流動負債の合計)より現金預金、売掛金、棚卸資産等の流動資産の合計が超える事が先ず第1条件となるからです。
現金預金以外は支払手段として100%あてに出来ない場合があるので200%つまり評価が1/2になっても支払い可能な状態を流動比率200%に目標設定しているのです。
この2つの自己資本比率と流動比率を分析しながら企業の過去から現在に至るトータルの実績として資本の部をながめてください。
過去からのトータルの実績で営業成績がプラスであれば剰余金もプラスと出ています。
マイナスの場合は、欠損金と表示されます。
この欠損金が資本金を上回った状態は負債総額が上回った状態すなわち債務超過の状態なのです。
なぜなら資産=負債+資本より導き出される
資産−負債=資本がマイナスに
なる状態が欠損金>資本金の状態だからです。
すなわち資本の部=資本金+剰余金で表示されるわけです。
このB/Sの数値はP/Lの結果を受けて引き継がれた残高なのです。
P/Lにおいては経常利益率=経常利益/売上高×100がすなわち経常利益率2%を目標として毎期積重ねられた営業成績はB/S資本の部の内容に引き継がれる結果としての財務状態に表現されるという関係なのです。

従ってB/SとP/Lとの関係は、期首B/Sに表示されている財務状態から出発し、P/Lに表示された営業活動を行った結果その財政状態は期末B/Sのように変化したと捉えるのがB/SとP/Lの正しい見方なのです。



【損益計算書の見方】

損益計算書---→ 企業の営業活動の結果、いかなる利益が計算されたかを示す財務諸表。
プロフィットアンドロス(P/L)という。
各段階の利益と内容を示すと下記の通りです。
P/L
(千円)
 
T.売上高   
30,000
 
U.売上原価 期首棚卸
当期仕入高

  2,000
 19,000
 21,000
 
  期末棚卸高 3,000
18,000
 
  【売上総利益】(1)
12,000
→一般的に粗利と言われる
V.販売費一般管理費  
10,000
 
  【営業利益】(2)
2,000
→主たる営業活動上の利益
W.営業外収益  
300
 
X.営業外費用  
500
 
  【経常利益】(3)
1,800
→発生が常に
期待される利益    
Y.特別利益  
100
 
Z.特別損失  
300
 
  税引前当期利益(4)
1,600
→税引前の当期利益
  法人税住民税等
1,000
 
  【当期利益】(5)
600
→税引後の当期利益
  前期繰越利益(6)
1,400
→前期までの内部留保
  【当期未処分利益】(7)
2,000
→当期の内部留保

損益計算書 (P/L)借方側の費用は、企業の営業活動すなはち、利潤追求という命題に対して払われた努力を物語り、貸方側の収益は、その結果得られた成果を物語っているのです。
従って、成果が努力を上回った部分が利益といえるのです。しかも、その内容を、売上総利益すなわち売上高から売上原価を控除した粗利をまず表示し、そこから人件費その他の諸経費である、販売費および一般管理費を差し引くことにより営業利益を計算し、さらに、営業外損益を加減し経常利益を表示し、特別損益を加減して当期利益を最終的に表示します。
このことから損益計算書は、企業の営業活動の結果どのような利益が計上されたかを表示する計算書であると言えるのです。

・P/Lは一定期間の営業成績を表示する財務諸表であり、B/Sは一定時点の財政状態を表示する財務諸表です。
すなわちP/Lは企業が営業活動を行った結果を売上高と、売上原価、人件費、その他諸経費とを対比させ当期に利益が出たのか又は損失なのか、各段階での売り上げ総利益、営業利益、経常利益、当期利益はいかほどかという利益の明細書であるといえるのです。
・それに対してB/Sは企業の営業活動の結果、残高表示はどのような内容かを示しております。
金銭・物品・債権等の資産残高はいくら残っているのか又その結果資本の中身はどのように変わったのかを物語っているのです。
・従って両者(P/LとB/S)は単独で読むべきものでもないのです。それは、期首B/Sを出発点としてP/Lに表示される営業活動を行った結果その財政状態は期末B/Sのように変化したととらえるべきなのです。
・これらの基本的理解を前提に経営の内容分析が始まるのです。



【経営内容分析のポイント】
倉重会計では、上記の基本的理解を前提としてB/SとP/Lにおける経営内容分析のポイントを経営内容報告書として報告いたします。実践から結論された手法です。
1. 貸借対照表は経営の効率性を物語ります。
(1)流動比率
(2)自己資本比率
(3)回収比率・支払比率

2. 損益計算書は企業の収益性を表示します。
(1)売上高・仕入高・売上原価・人件費・その他経費についての前期比較と内容分析
(2)売上高の内容分析。
(3)経費の内容分析。

詳細は顧問先への報告書で報告させていただきます。