譲渡所得課税

 

(A)総合課税

 

対象

土地・建物・株式等以外の資産を売却した場合の譲渡所得。

ゴルフ会員権・書画・骨董品・自動車・事業用の車両,備品等の売却が対象。

 

譲渡所得 (H24・04・01現在)

※売却日に於いて所有期間が5年以内の場合は短期譲渡・5年超は長期。

※自作の特許権・実用新案権・著作権・採掘権・工業所有権・育成者権等は

 の四つは所有期間にかかわらず長期譲渡となる。

 

  長期譲渡益=(譲渡収入―取得費―譲渡経費)

  短期譲渡益=(譲渡収入―取得費―譲渡経費)

  譲渡所得の金額=長期譲渡益+短期譲渡益−特別控除(50万円)

50万円の特別控除は短期より控除し短期・長期の合計限度額です。

※短期は全額、長期は1/2が総合課税の対象となる。

(B)分離課税

対象

土地・建物等を売却した場合の譲渡所得。

 

@分離長期譲渡所得 

 ※その年の1月1日において所有期間 5 年超 (措置法31A)

長期譲渡所得=(譲渡収入―取得費―譲渡経費―特別控除額)

 ※取得費を証明出来ない場合は売却代金の5%を概算取得費とする。

 ※固定資産税・都市計画税はその年の1月1日の所有者に課税されるので

  買手から期間按分で収受した固定資産税は譲渡収入となる

 ※建物の取得費は未償却残高とする。

 ※譲渡費用には仲介手数料・登記費用・印紙代・測量費・取り壊し費用・解約違約金等

  譲渡に直接必要と認められる費用。

 ※譲渡収入の按分基準は土地(路線価)・建物(固定資産評価額)

 

税額

    所得税  15% (優良住宅地への譲渡は10%)

    地方税  5%

 

A分離短期譲渡所得 )

 ※その年の1月1日において所有期間 5年以下 (措置法32@

  短期譲渡所得=(譲渡収入―取得費―譲渡経費−特別控除額)

 

税額

    所得税  30% (国,地方公共団体への譲渡は15%)

    地方税  9%

【改正点】平成16年分以降の所得から土地・建物の譲渡所得から生じた損失をそれ以外の他の総合所得との損益通算および次期繰越が認められないこととなりました。

 

 

 

 

B居住用の家屋、土地等の譲渡益課税

居住用の3000万円特別控除は所有期間に関わらず適用されます。

※《その年の1月1日において10年を超える土地建物等の譲渡。については

軽減税率の適用があります。

    譲渡損失は損失計算明細書を確定申告書に添付することにより3年間の繰越が

出来る。

 

 譲渡価額−取得費−譲渡費用−3、000万円=課税長期譲渡所得    

長期→譲渡の年の1月1日現在で所有期間が10年を超える場合(措置法35)

 

課税長期譲渡所得   

       所得税

      住民税

 

 

譲渡所得 -特別控除額

     3000万円)

6000万円以下の部分 10% 

 

        4%

 

 

6000万円超の部分  15%

5%

 

 

 

C居住用財産の買替えの場合の長期譲渡所得

 要件1.10年以上所有居住した住宅

   2.所有10年超、30年以上居住

※交換は相互に固定資産・交換譲渡直前の用途が同じ・交換の相手が1年以上所有で交換目的の取得でない事を要します。

※交換の差額がいづれか高い方の20%以内であること。

※交換譲渡資産の価額の20%以内の差額については20%課税。

※利益供与でなく第3者取引と同様であること。

 

D収用等による譲渡所得の税率  (措置法33C)

譲渡価額−取得費−譲渡費用−5,000万円=課税長期(短期)譲渡所得    

※収用の譲渡は最初に買取の申し出を受けた日から6カ月以内の譲渡に限ります。

 

E特別土地区画整理による譲渡所得の税率  (措置法34A一)

譲渡価額−取得費−譲渡費用−2,000万円=課税長期(短期)譲渡所得    

*土地・建物等以外の資産は総合課税

 

F特定住宅地造成事業による譲渡所得の税率  (措置法34の2@一)

譲渡価額−取得費−譲渡費用−1,500万円=課税長期(短期)譲渡所得    

 

 

G農地保有合理化等による譲渡所得の税率  (措置法34の3@一)

譲渡価額−取得費−譲渡費用−800万円=課税長期(短期)譲渡所得    

 

 

 

H優良住宅地等のための課税の特例  (措置法31の2)

              所得税率     住民税率

軽減税率  2,000万円以下   10%        4%

      2,000万円超    15%        5%

     この軽減税率の適用は上記の特別控除との併用が可能です。

     Bの居住用の3,000万円特別控除を受けた場合は適用ありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲渡所得計算に際してのチェックポイント

 

(1)土地建物等の譲渡

 

   建物等     建物、建物付属設備、構築物など

   譲渡には →  売買、交換、収用、代物弁済、財産分与、法人に対する現物出資

 

(2)長期・短期の区分基準

   長期       譲渡があった年の1月1日で所有期間が5年超の譲渡

   短期       譲渡があった年の1月1日で所有期間が5年以下の譲渡

 

(3)所有期間の判定

   所有期間の判定は、「資産の取得日」と「資産の譲渡日」を判定の基礎としています。

   「資産の取得日」

@      @購入資産      → 引き渡し日または、売買契約の効力発生日

A      A自己建設資産  → 建設完了日

B      B請負建設資産  → 引き渡し日

C      C相続資産      → 被相続人が取得した日

D      D贈与資産      → 贈与者が取得した日

「資産の譲渡日」

@      @引き渡し日または、売買契約効力発生日

A      A売買代金の全額を受領した日

引き渡し日または、売買契約効力発生日は選択して適用できますが(資産の取得日は引き渡し日として譲渡日は契約効力発生日とすることは問題有りません)が、売買代金の全額を受領した日の後に資産譲渡日を決定することは、できません。

 

(4)譲渡所得金額の計算

   【課税譲渡所得の計算】

    @  譲渡収入 − (取得費+譲渡費用) = 長期譲渡所得

A     譲渡収入 − (取得費+譲渡費用) = 短期譲渡所得 

 

 (5)譲渡収入、取得費、譲渡費用の説明

    譲渡収入 → 資産の譲渡により確定した収入金額をいいます。

    取得費   → 資産の購入代金、購入手数料、設備費用、改良費(通常の修繕費を除く)立退き料等

    譲渡費用 → 登記費用、仲介手数料、運搬費、(引越し費用を除く)印紙代等の譲渡直接費用

                譲渡のための借家人立退き費用、家屋の取り壊し費用、契約解除違約金等の譲渡   資産価額増加の為の費用