平成26年度税制改正

平成26年度税制改正は、デフレ脱却と経済活性化に向けた税制改正となりました。民間投資の活性化・景気回復を広範囲に浸透させるため復興特別法人税の1年前倒し廃止・生産性向上のための設備投資促進・ベンチャー企業投資促進・事業再生税制の創設、研究開発と所得拡大税制等の対応が取られた平成25年度税制改正に続いて、平成26年度税制改正は税制の抜本改革を実現するため所得税・相続税・贈与税及び車体課税等の整備が講じられました。

 

改正項目

改正内容

備考

(一)       個人所得税

@    給与所得控除の上限の引き下げ

 

単位:万円

所得税関係

現行

H28年分所得

H28年分以降

給与収入額

1,500

1,200

1,000 

所得控除

245

230

220

※住民税について、H28年分所得はH29年度分に適用となる。

 

 

 

 

 

 

A    源泉徴収税額票の見直し

給与所得控除後の所得金額を計算する月額表・日額表・賞与税率表が給与所得控除の上限の引き下げに伴う見直しがなされました。

 

B    少額投資非課税制度(NISA)の制度整備

少額投資非課税制度ニーサ(H26年1月より開始、非課税口座、

10年間,500万円の非課税投資を可能とする日本版NISAについて

@    同一勘定設定期間内における口座開設の金融機関の変更が可能となった。

A    開設口座を廃止した場合の再開設が可能となった。

 

 

C    生活に通常必要でない資産の範囲が拡大

 

 

 

 

生活に通常必要でない資産の範囲が拡大され、ゴルフ会員権・

リゾート会員権の給与所得などとの損益通算はできなくなりました。

 

 

 

D    公的年金に係る確定申告不要制度の見直し

@    源泉の対象とならない公的年金は申告不要制度の適用はできなくなりました。

A    控除対象配偶者になるかの申告書に公的年金の受給者の扶養親族等申告書が加えられました。

 

@はH27年分より適用

AはH27年分より適用

E    個人の債務免除益

 

@    資産評価損の損金算入要件は減価償却資産・繰延資産等の評定基準に準拠して評定していることを要件とする。

A    評価損の損金算入額は特例適用前の所得金額を上限とする。

 

B    破産法の免責適用を受けた場合の債務免除益は収益不算入とする。

C    債務免除益の収益不算入は特例適用前の損失金額を上限とする。

 

(二)       法人課税

@    生産性向上設備投資促進税制の創設

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A    中小企業投資促進税制

 

 

 

 

 

 

 

H260120

H280331

H280401

H290331

特別

償却

即時償却

(取得原価―普通償却限度額)

取得原価×50

建物・構築物は取得原価×25

 

税額

控除

取得原価×5

建物・構築物は

取得原価×3

 

取得原価×4

建物・構築物は

取得原価×2

 

 

  対象設備は生産性向上のための機械(160万円以上)・工具・備品(120万円以上)・建物(120万円以上)・建物付属設備(60万円以上)等・ソフトウエア等(70万円以上)で一定規模以上のもの。

 

 

 

 

 

 

@   中小企業投資促進税制の見直しと3年間の延長。

A   現行の取得価額の30%の特別償却が改正後は即時償却(得原価−普通償却限度額)となりました。

B   取得価額の7%(特定中小企業は10%)と税額控除との選択適用が可能となった。

C   生産性向上設備等について、特別償却は即時償却が、税額控除は7%(特定中小企業は10%)の優遇措置が取られました。

 

 

B    研究開発税制

試験研究費の増額に係わる税額控除の改正と平成29年3月までの期限延長がなされました。

 

C    ベンチャー促進税制

ベンチャー企業への投資促進の為、ベンチャーファンドに出資する企業が出資額の80%を限度として損失準備金を損金算入できる制度が創設されました。

 

D    事業再生税制の創設

グローバル化・新事業拡大支援の為、統合企業に対し出資額の70%を限度として損失準備金を損金算入できる制度が創設されました。

 

E    耐震改修投資促進税制の創設

耐震改修建物について平成26年4月1日から5年の間に取得したものは取得価額の25%の特別償却が出来る制度が創設されました。

 

F    所得拡大促進税制の適用緩和と延長

雇用者給与の増額に伴う税額控除制度において給与等の増加割合の緩和とその適用期限が平成30年3月31日まで2年間延長されました。

 

G    その他の改正

@   少額資産(30万円未満の減価償却資産)の取得価額(合計300万円が限度)の即時償却について平成28年3月31日まで2年間の期間延長がなされました。

A   創業促進の為、登録免許税の税率軽減措置が創設されました。
平成26年1月20日から平成28年3月31日まで、
7.5/1000から3/1000に軽減。

B   車両再編成等に係る登録免許税の税率軽減措置が創設されました。

C   耐震改修を行った既存家屋に係る固定資産税の税率軽減措置が創設されました。

D   復興特別法人税が1年前倒しで廃止されました。
復興特別所得税について利子・配当の所得税の額と合わせて法人税から控除できることになりました。
平成24年4月1日から平成27年3月31日まで。

E   交際費課税
飲食費用(社内交際は除く)の50%を損金算入とする。
中小企業の特例は上記の飲食交際費の50%と800万円までの全額損金算入との選択適用が可能となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(三)       消費税

@   簡易課税制度のみなし仕入れ率の改正

 

改正後

改正前

卸売業

第1種90

第1種90

小売業

第2種80

第2種80

農林水産業・鉱業・建設業・製造業・

電気業

 

第3種70

 

第3種70

料理飲食業

第4種60

第4種60

金融業・保険業

運輸通信業

サービス業

第5種50

第4種60

第5種50

不動産業

第6種40

なし

平成27年4月1日

以後開始

事業年度

より適用。

A   金銭債権の譲渡
課税売上割合を計算する際、金銭債権の譲渡については対価の5%相当額を資産の譲渡等の対価の額に算入する。

B   消費税率の引き上げに伴う軽減税率
大綱で10%課税時期に導入と明記されるも導入時期等については平成26年12月までに大綱を決定することになっております。

平成26年4月1日

以後の譲渡に適用。

(四)       土地・
住宅税制

@   優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例は3年間適用期限(H281231まで)の延長。

A   特定居住用財産の買換え等の長期譲渡所得の課税の特例は譲渡対価が1億円に引き下げられて、2年間の適用期限(H271231まで)延長

B   特定居住用財産の買い換え等の長期譲渡所得の課税の特例における譲渡損失・繰越控除の適用期限が2年間の適用期限(H271231まで)延長

C   中古住宅について耐震基準に適合する改修工事をした場合に住宅ローン控除が適用される事になりました。

D   特定事業用資産の買換えの特例がH29・12・31まで延長

 

(五)       資産課税

@   相続税

 

 

 

A   贈与税

 

 

B   農地の
納税猶予
制度の見直し

 

 

 

 

医療継続に係る相続税の納税猶予の創設。

医療法人は配当が出来ない為に相続税が過大になることから

認定医療法人についての納税猶予制度の創設。

 

医療法人の出資の放棄に伴う贈与税が 過大になることから

認定医療法人についての納税猶予制度の創設。

 

@   農地継続のために過大な相続税・贈与税の
納税猶予をする場合、収用の為の譲渡に係る利子税の免除。

 

A   特例適用農地を譲渡し買換えの特例を適用した場合
収用の為の譲渡に係る譲渡はなかったものとする。