平成25年度税制改正(平成25年3月29日成立)
平成25年度税制改正は民間投資の喚起・雇用の拡大・中小企業対策・農林水産業の為の税制上の措置が講じられました。また、社会保障と税の一体改革を実現するため所得税・相続税・贈与税及び住宅取得控除および震災復興支援のための措置が講じられました。
改正項目 |
改正内容 |
適用開始年月日 |
(一).個人所得税 |
課税所得4000万円超について45%の税率を追加創設されました。 |
平成27年分 以後の所得税に 適用。 |
1.所得税の最高税率の見直し |
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2.)金融・証券税制 |
・日本版ISAの創設。 H25年末で証券優遇税制(10%)が終わり、日本版ISAがH25年度税制改正大綱で創設された。ISA(アイサ)は少額投資非課税制度といい、非課税口座で保有する株式や投資信託の運用益が非課税となる、投資枠は100万円まで・投資総額500万円まで(毎年100万円まで、繰り越し不可)平成26から10年の制度継続期間である。 ・金融所得課税の一体化の拡大 特定公社債等の利子及び譲渡損失並びに上場株式に係る 所得税の金融商品間の損益通算等の拡大。 ・特定公社債等の利子等の20%分離課税を廃止。 @利子所得等の課税方式 (イ) 20%の申告分離課税とする。 (但し支払い調書の提出のないものは除く。) (ロ) 平成28年1月1日分以後の支払いを受けるものは申告不要とすることができる。 (ハ)国外公社債等の利子等において申告分離の対象となるものについては外国税額控除後の金額に対して20%源泉徴収を行うものとする。 A譲渡所得等の課税方式 . 特定公社債等の譲渡所得について非課税から除外 (イ) 特定公社債等の譲渡は分離課税の対象とする (ロ)償還・一部解約も分離課税の対象とする。 ※損失は他の特定公社債等から控除できる。 B上場株式の譲渡損失及び配当所得損益通算並び繰り越し控除の特例の対象範囲の拡充 (イ) 上場株式の特例を特定公社債等に適用 (ロ)損益通算後の残高の3年間繰越控除できる。 ※配当所得は申告分離した者に限る。 (ハ)買入償還による譲渡にも特例適用 (二)確定申告がない場合の宥恕(ユウジョ)規定の廃止 C特定口座での取り扱い (イ)特定公社債等は特定口座に入れる事が出来ることとする。 (ロ) 特定公社債等の利子は源泉徴収口座で管理できる。 (ハ)源泉徴収税額の計算は、口座内の特定公社債等の譲渡損失があれば当該配当・利子の金額から控除した金額の20%とする。 (二)H27年12月27日以前に取得した特定公社債等H28年1月1日に特定口座に実際の取得日・取得原価で特定口座に入れることができる。 D特定公社債の範囲 (イ)国債・地方債・外国国際・外国地方債 (ロ)会社以外の法人特別の法律により発行する社債 (ハ)公募公社債・上場公社債 (二)発行日まえ6カ月以内に有価証券報告書を発行している法人が発行する社債。 |
平成28年1月1日分以後 の支払いを受けるもの |
3.住宅税制 |
@住宅ローン減税をH26年1月1日からH29年末まで4年間延長し、その期間のうちH26年4月1日からH29年末までに認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)を取得した場合の最大控除額を500万円に、それ以外の住宅を取得した場合には400万円にそれぞれ拡充 A自己資金で認定住宅を取得した場合及び省エネ等の一定の住宅リフォームを行った場合の所得税の住宅投資減税について拡充。 B個人住民税における住宅ローン控除について、H26年4月1日からH29年末までの間、控除限度額を拡充 |
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4.復興支援のための税制措置 |
@高台移転をさらに支援するため、一定の要件を満たす防災集団移転促進事業で行われる土地の買い取りに係る譲渡所得に対し、5000万円の特別控除の創設。 A)東日本大震災の被害者が新たに再建住宅を取得する場合、住宅ローン減税の最大控除額を他の地域よりさらに抜本的にかさ上げし、360万円を600万円に引き上げ。 |
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(二)資産課税 (1)相続・贈与税の 見直し (2)事業承継 税制 (3)復興支援の為の税制上の措置 |
@相続税の基礎控除 5000万円+法定相続人×1000万 が3000万円+法定相続人×600万と見直し。 A相続税の最高税率を55%に引き上げ 【相続税】 1千万(10%)・3千万(15%)・5千万(20%) ・1億(30%)までは変更なし、 2億円(40%)・3億円(45%)・6億(50%) ・6億超(55%)と課税構造が改正。 【贈与税】 200万(10%)・400(15%)・600万(20%) 1000万(30%)1500万円(40%)までは変更なし、 3000万(45%)4500万円(50%)・4500万超(55%)と課税構造 が改正。 B小規模宅地等の相続税課税価額の計算の特例 適用対象面積の上限を240uから330uに拡大。 ※居住用宅地と事業用宅地の併用が可能となり C贈与税の税率構造について、相続税の最高税率に合わせる。(55%). D教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置。 子や孫に対する教育資金の一括贈与に係る贈与税について、子・孫毎が受贈者となる場合の税率構造の緩和。 (子や孫ごとに)1500万円までを非課税措置を創設。 E相続時精算課税制度について、贈与者の年齢要件を65歳以上から60歳以上に引き下げ。受贈者の範囲に20歳以上である孫(現行は推定相続人のみ)を加える。 @非上場株式等に係る相続税等の納税猶予制度について 適用要件の緩和。 雇用8割の維持が難しい年があっても5年平均で 8割平均が確保できればよい。(雇用確保要件の緩和) A役員である贈与者が、認定会社から給与の支給を受けた場合であっても、贈与税の納税猶予の取り消事由に該当しない事とする。 B贈与税の納税猶予における要件のうち、贈与時に於いて認定会社の役員でない事とする要件が贈与時に於いて当該会社の代表権を有していないことに改める。 ※役員を退任しなくても後継者を支えることが出来るようになった。 C経営承継相続人等の要件のうち、非上場会社を経営していた被相続人の親族であることととする要件を撤廃する。 ※親族でない従業員を支えることが出来るようになった D納税猶予税額の計算において、被相続人の債務及び葬儀費用を相続税の課税価額から控除する場合には、非上場株式等以外の財産から控除することとする。 E株券不発行会社について一定の要件を充たす場合には、株券を発行しなくても、相続税・贈与税の納税猶予の適用を認めることとする。 F認定有効期間(5年経済産業大臣)経過後に納税猶予額の全部または一部を納付する場合には当該期間中の利子税を免除する。 ※負担の軽減 (利子税の引き下げ) G経済産業大臣による事前確認制度を廃止する。 ※手続きの簡素化 (事前確認の廃止等) 東日本大震災に係る津波により甚大な被害を受けた区域 のうち、市町村長が指定する区域における土地及び家屋 に係る固定資産税等の課税免除等を1年延長。 |
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(三)法人課税 (1)民間投資の喚起と雇用・所得の増大 (2)中小企業対策・農林水産業対策 (3)復興支援のための税制上の措置 |
@国内の生産等設備投資額を一定以上増加させた場合にその機械設備の取得原価の30%の特別償却又は3%の税額控除が出来る制度の創設。 A労働分配(給与等支給)を一定以上増加した場合、その増加額の10%の税額控除を可能とする所得拡大促進税制を創設。 (法人税額の10%を限度とする。中小法人は20%) B環境関連投資促進税制について、その適用を2年間延長すると共に、即時償却の対象資産にコージェネレーション設備(熱電供給型動力発生装置)を追加。 C研究開発税制の総額型の控除上限額を法人税額の20%から30%に引き上げると共に、特別試験研究費の範囲のなかに一定の共同研究を追加。 D雇用促進税制を拡充し税額控除額を増加雇用者数一人当たり20万円から40万円に引き上げ。 @商業・サービス業及び農林水産業を営む中小企業等が経営改善に向けた設備投資を行う場合に30%の特別償却又は7%の税額控除が出来る制度を創設。 A中小法人の交際費課税の特例を拡充 中小法人の支出交際費800万円まで全額損金算入 避難解除区域等における非難対象雇用者等を雇用する場合の税額控除制度、及び設備投資を行う場合の即時償却や税額控除が出来る制度について、新たに避難解除区域等に進出する法人に同様の措置の適用。 |
平成27年3月31まで延長 H25年4月1日 から 平成28年3月31日 H25年4月1日 から 平成27年3月31日 |
(四)消費課税 |
衝突被害軽減ブレーキを搭載した先進安全自動車に係る自動車重量税及び自動車取得税の特例措置の対象に5トン以上の一定のバスを追加。 |
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(五) 納税環境整備 |
延滞税・利子税・還付加算金について、現在の低金利の状況に合わせ引き下げ。(地方税の延滞金等も同様に引き下げ) |
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