平成22年度税制改正

民主党政権の掲げる「支えあう社会」の実現にむけ租税特別措置法の見直し社会保障制度との一体化、グローバル社会への対応、地域主権の確立をスローガンに税制のありかたを見直しました。

【1】個人所得税関連の改正

(1)扶養控除の見直し

 @扶養控除(15歳までの年少者)について所得税・住民税とも廃止。
 A特定扶養控除(16歳〜22歳の高校、大学生)の上乗せ部分のA皮脂。
 B扶養控除(23歳〜69歳)については見直しをしない。
 (注所得税はH23年分、住民税は24年分からの適用。)

見直し項目対象年齢所得税住民税
年少扶養親族16歳未満廃止廃止
特定扶養親族16歳〜18歳38万円33万円
19歳〜22歳63万円45万円
成年扶養親族23歳以上38万円(見直しなし)38万円(見直しなし)
同居特別障害者特別障害者35万円加算23万円加算
適用年度 H23年分よりH24年分より

(2)金融証券税制(株式の配当、譲渡)に関する見直し

 @非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等についての非課税措置の創設

 (イ)非課税口座内上場株式等について

  H24年から26年に設定された非課税口座内の開設の日の属する年の1月1日から10年間に支払いを受けた場合所得税および住民税の非課税。

 (ロ)非課税口座内上場株式等について

  H24年から26年に設定された非課税口座内の開設の日の属する年の1月1日から10年間の非課税口座内上場株式等の当該金融商品取引業者等への売り委託等による譲渡に係る所得税および住民税の非課税。

 A上場会社の「みなし取得費の特例」はH22年12月31日で終了
  H13年10月01日の終値の80%を取得費とみなして計算するとするみなし取得費。

(3)生命保険料控除

 現行の生命保険料控除は一般と年金の控除は5万円(住民税3.5万円)であったが、見直しでは一般・介護、医療・個人年金に分類し、個人年金保険料控除の対象に年金払積立傷害保険(損保年金)を追加。

(単位:万円)
生命保険料控除現行見直し
所得税住民税所得税住民税
一般(遺族保障)3.52.8
介護、医療保障  2.8
個人年金
老後保障
損保年金
3.52.8
控除額計10128.4
H24年1月1日以降の契約

(4)買換えの特例の延長

特定居住用財産の買換えの特例は売却代金の上限を2億円として2年間延長。
(H23年12月31日まで)

(5)売却損、繰越控除の特例の延長

居住用財産の売却損の損益通算および繰越控除の特例は2年間延長。
(H23年12月31日まで)

(6)固定資産税の軽減措置の延長

一定の要件の新築住宅の120m2部分までの固定資産税の3年間1/2となる措置が2年間延長された。(中高耐火住宅等は5年間1/2)
(H24年3月31日まで)

(7)長期優良住宅に係わる固定資産税の軽減措置

長期優良住宅を建築した場合に適用される固定資産税の軽減措置が2年間延長。
(H24年3月31日まで)

(8)省エネ改修工事係わる固定資産税の軽減措置

一定の省エネ改修工事を行った場合に適用される固定資産税の軽減措置が3年間延長。
(H25年3月31日まで)

(9)バリアフリー改修工事係わる固定資産税の軽減措置

一定の省バリアフリー改修工事を行った場合に適用される固定資産税の軽減措置が3年間延長。
(H25年8月31日まで)

(10)長期優良住宅の新築に係わる不動産取得税の特別措置の延長

一定の要件を満たす長期優良住宅を新築した場合に適用される固定資産税の軽減措置が2年間延長。
(H24年3月31日まで)


【2】法人税(中小企業関連)の改正

(1)特殊支配同族会社損金不算入制度の廃止

特殊支配同族会社損金不算入制度が廃止になりました。
(H22年4月1日以降に終了する事業年度から廃止)

(2)交際費の損金不算入制度の延長

交際費の損金不算入制度が2年間延長されました。
(H24年3月31日まで)

(3)少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例延長

1点30万円未満の少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度が2年間延長されました。
(H24年3月31日まで)

(4)中小企業投資促進税制の延長

1台160万円以上の機械等を購入した場合の特別償却か税額工場の選択適用の制度が延長されました。
(H24年3月31日まで)

(5)中小企業基盤強化税制の保護

T期で合計70万円以上の投資をした場合取得価額の30%特別償却か7%の税額控除の選択適用の制度が中小企業に限って継続適用になりました。
不足額の翌期繰越可。
(H23年3月31日まで)

(6)欠損金の繰延還付不適用の延長

欠損を出した場合に前期納付税額が出来る欠損金の繰戻還付の適用停止について停止期間が2年間延長されました。
(H24年3月31日まで)

(7)グループ法人税制の創設

経営の実態に即したグループ法人税制の創設。
固定資産・土地・有価証券など帳簿価額1千万円以上の資産の譲渡損益について100%資本関係のある会社間のこれらの譲渡損益の課税を繰延べる。
受取配当金は益金不算入、寄付金は受取・支払ともに損益不算入。これにより子会社が寄付金を受けた場合の受贈益も益金不算入となる為支援を受けやすくなった。
(H22年10月1日より適用)


【3】資産税関連の改正

(1)直系尊属からうけた住宅資金の特例

親、祖父母からの住宅資金の贈与についてH22年中は1500万円、H23年中は1000万円まで非課税となる(改正前は500万円)。
受贈者の合計所得2000万円以下という所得要件が出来ました。(基礎控除110万円はプラスされる。)
(H22年1月11日からH23年12月31日まで)

(2)相続時精算課税の特例

相続時精算課税制度の住宅資金は1000万円の上乗せが廃止されまた親の65歳以上の年齢制限のないまま2年間延長された。
(H23年12月31日まで)

(3)小規模宅地の評価減の特例

小規模宅地の評価減の特例が改正されました。
(H22年4月1日以降の相続・贈与に適用)

 適用要件
  @ 居住・事業の継続の要件創設(改正前はこの要件なし)
  A 共同相続人の取扱いは取得者ごとの適用要件で判定(改正前は一人で要件充足)
  B 自宅件賃貸物件の取扱は自宅、賃貸ごとに按分適用(改正前は全体に適用)
  ※居住用が二つ以上ある場合主たる物件のみが居住用の特別控除の対象となる。

(4)定期金(年金)に関する権利の評価額

生命保険・年金保険契約に基づき相続・贈与で定期金(年金)を受取る権利について評価額について改正がありました。

 [1] 権利金の評価額は下記のいずれか多い金額とする。
  @ 解約返戻金
  A 一時金受取額
  B 予定利率算定額
(H22年4月1日からH23年3月31日間の相続・贈与に適用)

 [2] 給付事由発生してない場合の評価は解約返戻金とする。
(H22年4月1日以降の相続・贈与に適用)


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